クリニック通信

2017年3月24日 18:53

バリデーション

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橋本クリニックでは、通所リハビリやサービス付き高齢者住宅「ゆくりあ」のスタッフとともに毎月院内研修会を開催しています。

今月のテーマは「バリデーション」。

関西福祉科学大学 都村尚子先生の講演をもとに返礼講習をさせていただきました。

バリデーションとは、認知症高齢者とのコミュニケーション法です。

認知症が進行し、仮に植物状態になったとしても、その人の「感情」は残ると言われています。

バリデーションは失っていくもの(認知レベル)に焦点をあてるのではなく、最後まで失われないもの(感情レベル)にアプローチします。その結果、どのような段階の認知症の人ともコミュニケーションをとることが可能になるのです。

認知症初期に「盗られた」と繰り返す、時間や場所がわからなくなり「家に帰る」と繰り返す、だんだん言葉を失い意味のわからない動作を繰り返すなど、認知症高齢者の対応に苦慮することって多いですよね。

そんな時にこの「バリデーション」をうまく活用できたらいいなと思います。

都村先生の著書「バリデーションへの誘い」より、症例紹介です。

かよさんは、娘夫婦と同居する85歳の女性です。認知症と診断されて約半年が経ちました。最近、夕方になると「家に帰る」と訴えて家族を困らせています。訴えはどんどん強くなり、ここ2~3週間、娘の静止も聞かず、家を飛び出して車にひかれそうになったり、1時間以上も近所を徘徊して帰れなくなり警察から連絡が入ったりすることが何度も起こり、娘さんは心身ともに弱りきって、夜も眠れなくなっています。

娘さん:お母さん、どうしたの? 帽子なんかかぶって。

かよさん:家へ帰るの。

娘さん:家って。 ここが、あなたの家でしょう。

かよさん:違う、違う。 はよ帰らないと。

娘さん:もう、いい加減にしてちょうだい。私がお母さんのためにどれだけ 苦労しているかわかっているの? 警察や近所にまで迷惑かけて!

かよさん:わかってる、わかってる。 

だから、ここを出て帰らないといけ な い。

娘さん:ひとりでどこにも行けないでしょう。 何がわかってるというの!

かよさん:帰して。 帰してくれーっ!

この症例でバリデーションを使うとこうなります。

娘さん:お母さん、どうしたの? 帽子なんかかぶって。

かよさん:家へ帰るの。

娘さん:家に帰りたいのね。 

その家はどこにあるの? (リフレージング・オープンクエスチョン)

かよさん:ここから列車で何時間もかかるところ。 山の奥のほう。

娘さん:そんな遠くにあるのね。 

その家では、誰かがお母さんを待っているの?  (オープンクエス     チョン)

かよさん:子供たちやお父さんが私を待っている。

娘さん:子供たちやお父さん・・・。 彼らに何をしなくちゃいけないの?       (リフレージング・オープンクエスチョン)

かよさん:子供たちはみんな小さいから、ご飯を作ってやらないといけない。お腹をすかせて待っているから。

娘さん:そうなのね。 お母さんは私たちのために毎日毎日ご飯をつくって、掃除や洗濯にお父さんの仕事の手伝い、何もかもひとりでこなしてきてくれたのね。

本当に働き者のお母さんでしたね。 本当にありがとう。

(行動とニーズを結びつける)

かよさん:ありがとう・・・。(涙)

最初からなかなかこんなにうまくはいかないでしょうが、ぜひトライしてみたいですよね。

ちなみにバリデーションの実施時間は週1回、3~30分程度が目安で、認知症高齢者の本当の想いをうまく引き出すことが出来れば、最初は30分かかったものが25分、20分、10分、5分とだんだん短くなっていくそうです。

さらに、バリデーションでは真の共感をめざすことを通して、認知症高齢者の「人生の未解決課題」の解決への奮闘を支援していきます。

厚生労働省は全国で認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値を発表しています。

65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患する計算で、約10年で1.5倍に増える見通しです。

橋本クリニックでは、認知症高齢者にさらに寄り添っていけるよう、常に勉強の毎日です。

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