橋本忠雄ブログ

2017年5月31日 09:31

短歌の部屋(23)

お題は、『鳥』。

☆山道を登りて見渡すネッカーは鈍色に光り鷲飛び立ちぬ

〈ネッカー〉だけでは、分かりにくいので、〈ネッカー川〉にしたほうがいい。 〈飛び立ちぬ〉は、今飛び立った瞬間を表す。〈飛び立てり〉は、飛び立って、まだその辺りにいる感じ。〈飛び立つ〉でもよい。

★山道を登りて見渡すネッカー川鈍色に光り鷲飛び立ちぬ

★山道を登りて見渡すネッカー川鈍色に光り鷲の飛び立つ

 山を登って、池の畔で弁当を食べていた。ハイデルベルグの町を見下ろしていたら、ネッカー川が、鈍色に光っていた。その時、大きな鷲が池の向うから、ばさばさっと飛び立った。それは、ウイスキーのラベルに描かれているような茶色の大きな鷲であった。

 この町で面白かったのは、ホテルで “Would you tell me how to get to the  zoo?” と訊いたら、ホテルの叔父さんが、困ったような顔をした。そこで、思いついて “Zoo”と、書いたら “オー!ツォー”と言って、動物園を教えてくれた。そこには、象が鼻を伸ばして、人々に餌をねだっていたり、大きな孔雀が羽根を広げていたのを、覚えている。

☆いっせいに飛び立つ雀ら我が撒きし白き飯粒くわえおるなり

 私は、炊飯器にこびり付いている飯粒を、洗い流して庭に撒くことがあります。すると、雀が食べにくるのです。ある日、ベランダに出てみると、沢山の雀が一斉に飛び立ちました。皆んな嘴に白い飯粒をくわえていたのです。

 なかなか面白い絵になるような光景でした。

〈くわえおるなり〉は、〈くわえる〉の口語と、〈なり〉の文語が混じっているので、好ましくはないかもしれない。いや・・・文語として通じるかもしれない・・・。なかなか文法は難しいものです。

 それと、〈おる〉は、東京の人から見れば、年寄りっぽい表現に、取られるかもしれない。しかし、雀に対する親しさという効果も感じられるので、このままでもいい。作者の言語感覚で、好きなほうにしたらよろしい。

★いっせいに飛び立つ雀ら我が撒きし白き飯粒くわえていたり

 しかし、私としては、〈おるなり〉の方が、良さそうに思います。小林一茶のような滑稽さがあるように感じるからです。〈くわえていたり〉は、無難だが、平凡な表現になってしまうように思います。

☆鋭きもの車道に突き刺さりおり鴉の羽根とはこれ異界かな

 これは、車道に黒いものが突きたっていて、よく見ると鴉の羽根なのでした。

知恵のある鴉でも車に轢かれるのだと、すこし鴉を哀れにも思ったのですが、それは、現実離れのした不思議な光景でした。そこで、〈異界〉という言葉を使いました。

先生の評は、「一番言いたいことは、書いてしまわないほうがよい。結句ですべてを纏めてしまっている。ずばり言ってしまっている。説明的になり、イメージが広がらない。この場合は、〈異界〉という言葉は、避けたい」。

なるほど・・・

★鋭きもの車道の上に突き刺さる見れば鴉の羽根が一本

 しかし、この歌でも、〈見れば〉は、くどいかな?と、言われてました。

もう少し工夫する必要がありそうです。

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