橋本忠雄ブログ

2017年6月30日 17:02

短歌の部屋(25)

お題は、『衣』。

女性なら、〈衣替え〉などに関心があって、詠いやすいお題かもしれませんが、男にはちょっと難しいです。なかなか思いつかなかったので、私はブータンの風景を詠むことにしました。

☆マニ車並びしゾン(寺)の白壁を朱き衣の僧が過ぎりし

ブータンのあらゆる所に、マニ車がありますが、特に寺(ゾン)のマニ車は、絵になる風景でした。白壁とその前を朱色の衣を着た僧が歩いていくのは、色彩的にも綺麗で、印象に残るものでした。

〈並びし〉は、過去形。歌は、目の前に起こっている風景を詠んでいるので、現在形である。→〈並べる〉になります。

この場合、〈並べる〉は、口語ではなく文語である。

旺文社の古語辞典には、下記のような例が載っている。

1.並べる 連ねる 羽を並べ、枝を交はさむ 〈源・桐壺〉

2.並・{べ・べ・ぶ・ぶる・ぶれ・べよ}

  平家物語9:宇治川先陣

  五百余騎ひしひしとくつばみを〈並ぶる〉ところに

  訳:五百余騎の軍勢がぎっしりと馬のくつわを並べるところに

歌は、こうなりました。

★マニ車並べるゾンの白壁を朱き衣の僧が過ぎりし

☆札を売る少年僧は袈裟を取り掛けてくれたり寒がる私に

文語体なので、一般的に言えば、〈私に〉→〈我に〉となる。

しかし、歌の雰囲気として、〈私に〉の方がマッチしているようなら、

口語の歌にしてしまうのも、一法である。

★札を売る少年僧は袈裟を取り掛けてくれたよ寒がる私に

★札を売る少年僧は袈裟を取り掛けてくれたり寒がる我に

☆市役所やゾンに入る時男らは白き布かけマニを廻せり

〈男らは〉とすると、説明調になってしまう。歌は、説明すると良くない。

文学作品は、説明してはいけない。言葉ではなく、感受性で感じさせなければならない。 単純に直すなら、〈男らの〉とする。

★市役所やゾンに入る時男らの白き布かけマニを廻せり

しかし、先生が最終的に添削して下さった歌は、こうなりました。

★男らは白き布かけマニを回す役所の門や寺に入るとき

歌というのは、前後を逆にすると、良くなる事があると言われていますが、

こうしてみると、なるほど!と、納得しました。

しかし、最初からそう歌えないのは、やっぱり実力がまだまだ足りないということだと思います。

しかし、皆さんはゾンやマニ車や白い布について、あまりご存知でないようでした。

ゾンという建築物は、ブータンでは、〈寺院〉、〈行政府〉、〈砦〉 の三役を担っています。そして、神聖な場所なので、男たちは白い布を肩からかけて、門を入っていきます。

マニ車は、その中に教典が入っていて、それを一回廻すと、お経を一回読んだのと同じ功徳があると言われている。だから、弁当持ちで朝からゾンの門に座り込んで、一日中マニ車を回している老人たちを、見たことであった。

このページの先頭に戻る
橋本クリニック 診療時間のご案内 電話番号 06-6991-2555 メールアドレス info@hashimoto.or.jp 診療時間 9時〜12時30分 17時〜19時30分 受付時間 8時45分〜12時 16時30分〜19時 休診日 日曜・祝日/火・木・土曜の午後 住所 〒570-0079 大阪府守口市金下町2-12-5