橋本忠雄ブログ

2017年7月29日 13:11

短歌の部屋(26)

お題は、『笑い』。

「笑いというのは、具体性がなくて、歌を作るには難しい題です」と小谷先生は、言われました。そこへいくと、次回のお題は、『魚』なので、「これは作りやすいですね」とのことでした。

☆アメリカへ留学すると伝えたら笑顔が消えた京の夕暮れ

「これは、深みのあるなかなかいい作品です」先生の講評でした。しかし、点数は入りませんでした。ここでも、〈旧かな遣い〉と〈新かな遣い〉の違いを言われました。

私が今まで、旧かな遣いをしていたものだから、〈伝えたら〉→〈伝へたら〉になるとのことです。

そこで、幾つか例示して下さいました。

※伝へず、伝へたり、伝ふ、伝ふるとき

※消えず、消えたり、消ゆ、消ゆるとき

※耐へず、耐へたり、耐ふ、耐ふるとき

※絶えず、絶えたり、絶ゆ、絶ゆるとき

〈伝へず〉は〈伝えず〉とは、ならないんですね。逆に、

〈消えず〉は、〈消へず〉には、ならない。旧かな遣いというのは、こんなにもややこしいのですね! 国文学部の大学院を出た人でも、正確に使いこなすのは、難しいそうです。

それなら、いっそのことこれからは、新かな遣いで統一した方が、いいかもしれませんね。ベテランの藤田さんも、小林さんも、旧かな遣いは難しいので、昔から、新かな遣いで詠っているということでした。

今日のお題が、『笑い』だったので、この歌を出しましたが、最初に作ったのはこんな歌でした。

★アメリカへ留学すると伝えれば無口になりし京の夕暮れ

さて、どちらがいいでしょうか・・・・。

☆「先生の笑顔見に来ました」来院の理由はそれだけ 解雇されし君

字余り過ぎ−−と言われました。確かに〈笑顔見に来ました〉は、9文字になっています。〈顔見に来ました〉なら、8字ですみますが、「笑顔という言葉は、使いたいですね」と、言われました。

さて、どうするか? 考えどころです。次回への宿題です。それと、新かな遣いでいくなら、

★「先生の笑顔見に来ました」来院の理由はそれだけ 解雇された君

と、なりますね。

tanka26_1.jpg

 

☆父はまう私を見ても笑はない孫には向けるおだやかな微笑

日常のささやかな出来事を、上手く捉えたいい歌ですと、言ってもらいました。 

また、旧かな遣いが、正しく使われている、とのことでした。

これも、新かなで書くとすれば、

★父はもう私を見ても笑わない孫には向けるおだやかな微笑

になりますね。

父の最晩年は、姉の家と私の家で、交互に看ていました。

父は、私を大変愛してくれていたと思うのですが、96歳で亡くなった父から見れば、当時の私はもう54歳の中年でした。父は私を見てももう笑わなくなっていました。しかし、孫の恵史が「おじいちゃん」と呼びかけると、父は恵史には、笑いかけるのでした。

思い出しました!それを詩に書いたことがありました。

その詩を、書いてみます。

tanka26_2.jpg

——じいちゃん

 

九十五歳を超えた父は

私の顔を見ても笑わなくなった

しかし孫の恵ちゃんが

おじいちゃん、と話しかけると

たちまち その相好を崩してしまうのだ

   

父にとって

目の前にいる私はただの中年男で

恵ちゃんの中に 子どもの頃の私が

だぶって映っているのであろうか

 

じいちゃん・・・と話しかけながら

父は何だかもう別の世界にいて

もうひとつの違った人生を生きているような

そんな気が 私にはしている  

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