橋本忠雄ブログ

2018年5月14日 15:01

短歌の部屋(48)

お題は、「乗り物」。

 

☆強面の駅員だけど列車来たら目配せをした この電車だと

シャガール展が、名古屋市美術館で行われていたので、観に行くことにした。しかし、名古屋だけではつまらないので、知多半島に行ってみることにした。ここは、学生時代に犬飼孝先生の万葉旅行に参加した時に、行ったことがある。海が綺麗で、先生が朗々と歌を読んでおられたのを覚えている。名古屋から、名鉄知多新線に乗るのであるが、ホームにはカラーの札がたくさんぶら下がっており、行き先がどれかよく分からなかった。そこで、駅員に訊いてみたのだが、強面のおっちゃんであった。しかし、目的の列車が入ってくると、目配せをしてくれたのである。終点の内海まで行った。これは面白い歌だが、〈列車〉と〈電車〉が重なっている。同じような言葉を使うのはよくない。以下のように変えたらどうか。

★強面の駅員だったが列車来たら乗るのはこれと目配せをした

☆ガラス戸に当たりて落ちし小鳥いちわ羽柔らかなマヒワなりき

「海しょうげつ」という旅館に着いた時、ロビーでゆっくりしていると、ベランダに何か落ちているのが見えた。小さな小鳥だった。生きているのか死んでしまっているのか・・・手に取ってみると、まだ暖かく柔らかな羽であった。〈いちわ〉と〈羽〉と二つ続くのは、目障りですね。そこを工夫して下さい。私もそれには気付いていて、〈いちわ〉とひらかなを使ってみたのですが、もう少し工夫が要るようでした。

★ガラス戸に当たりて落ちし小鳥なり羽柔らかな一羽のマヒワ

それと、〈落ちし〉は、少し前の過去を表す。今目の前に落ちているのなら、〈たる〉〈つる〉〈ぬる〉などの現在形を表す用語が相応しい。時制の問題も難しいですね。そうすると、こうなりました。

★ガラス戸に当たりて落ちたる小鳥なり羽柔らかな一羽のマヒワ

☆露天風呂につかりて眺む皆既月食如月ついたち知多半島の

たまたまその日は皆既月食の日であった。露天風呂に入っていると、ゆっくりと時間をかけて月が欠けていくのが見えた。数時間は掛かっていた。最後には、月の回りにハローができた。羨ましいですね・・・先生が言われた。ここにも、同じ文字が続けて使われている。〈皆既月食〉と〈如月〉。これは、離した方がいい。

★露天風呂につかって眺める皆既月食 知多半島の如月ついたち

それと、〈眺む〉は文語であるが、その場合は〈眺むる〉となります。だから、文語調で書くと以下のようになる。

★露天風呂につかりて眺むる皆既月食 知多半島の如月ついたち

註:尚、家に帰ってから鳥類辞典を調べてみると、落ちていた小鳥はマヒワではなくキクイタダキのようでした。すると、マヒワは使えなくなるので、また違った歌を作らなければならない。しかし、マヒワは3字、キクイタダキは6字と、大幅に違っているので同じようには作れないです。また、ここに新しい問題が生じた事でした。それから、この小鳥がどうなったかですが、暫くして飛び立っていきました。ホッとしました。このキクイタダキという小鳥ですが、辞典によると日本で一番小さな鳥、体重5g、全長10cmで、ハチドリの様にホバリングをしながら枝先の昆虫類を捕食するとのことです。

 

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