橋本忠雄ブログ

2018年10月 5日 15:19

短歌の部屋(57)

今日は、『無題』でした。

お題を考えるというのも、なかなか大変なのです。

そこで、私から提案しました。雑誌「短歌」に毎号、題詠が募集されているので、これからはその題を使おうと。

それで、次回の題は「ストロー・ビニール」または「願い」ということになりました。

 

☆地下鉄に席譲りくれし美少女の笑顔と太腿ともに眩しき

先日、御堂筋線に乗りこんだ時、目の前の少女がさっと席を立ってくれたのです。「大丈夫ですよ」なんて言いながら、折角の好意だからとその席に座って、彼女を見上げると、笑顔を見せてくれました。

その綺麗だったこと、ついで目の前にある太腿の健康的で美しかったこと! とても眩しいと感じたことでした。

☆美食して笑って写真に収まってた死刑執行前夜の法相

これは言うまでもなく、西日本大災害が今まさに起こっていて、死者も出ているというのに、なんの危機感もなく自民党の面々が「自民亭」で

繰り広げていた宴会のことである。こともあろうに翌日オウム真理教の七人の死刑執行を控えていた上川陽子法務大臣が、宴会の締めで万歳を三唱したとの報道を受けての歌である。死刑執行を決定した人間が、その前夜に宴会で万歳を唱えるなど尋常ではない。

☆河川敷群れ咲くポピーに見え隠れ歩いてゆくよ青い帽子が

これは、赤旗日曜版に載っていた写真に付けた歌である。子どもたちが歩いてゆく姿がとても可愛かった。

全体を通しての先生の感想。「橋本さんは、趣きの異なった歌を三首作った。そしてそれぞれがよく出来ている。口語短歌はそろそろ卒業ですね。守口辺りで、短歌教室を開催することも出来ます。文語短歌なら、まだ10年はかかりますが」。

「歌風は、アララギ派ですね」。嬉しいお言葉でした。そして先生が示してくれたのは、近代の短歌と現代の短歌でした。

その例として、近代の短歌、土岐善麿:

★だぶだぶの古きズボンのポケットに、両手つき入れて、あき風を聴く。

★窓ガラスの埃を拭きて、二階より街を眺むる、つかれし心。

★ひとり立てば、また、一人たつ、一人来れば、また、ひとりくるベンチの秋かな。

★快く働かしめよ、健やかに眠らしめよ、と、けふも、いのれり。

現代の短歌、吉岡太朗 (1986〜)『ひだりききの機械』 2014年より

★二十個の宇宙に等しい記憶機が打ち捨てられる僕らを容れて

★プログラムは更新されて君は消える 風鈴の向うに広がった夏

★月面にただ一軒のローソンのひかりのなかに安楽椅子が

★冷蔵庫ひらけばそそぐ橙のひかりのなかで懺悔をしとる

これらの現代短歌が分からないようでは、私の歌は理解できないでしょう。

別に難しい歌ではありません。月にローソンが一軒あって、その光の中に安楽椅子がある、童話ならこんな場面はいくらでも出てくるでしょう。

素直に、そのまま読んでみればいいのです。なるほど、そんなものですかねぇ・・・・。『白珠』の選者の一人、上田明先生も編集後記にこう書かれていました。

■白珠を読んでいて、私も含めてだが、老いの歌が多いので、退屈になってくることがある。まあ、会員の高齢化を反映しているのであろうが、かっては青春の文学であった短歌が懐かしい。 (白珠 7月号)

確かに、「白珠」には高齢化の中の人間や社会を、写実的に歌った歌が多い。

現実から飛躍した表現は、見られない。それは寂しいことであるかもしれない。では、アララギ派と言われた私も、これからは新しい表現を目指してみたいものだ。

 

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