橋本忠雄ブログ

2019年3月26日 11:14

短歌の部屋(64)

お題は、『煙』

 

☆ブータンの霧の流れる峠にて木を焼(く)べ煙を靡(なび)かせて悪霊払いいる老夫婦

 

 

一見して、長いですね!実に文字数は、44文字です。

自由律短歌は文字数を気にしない、また馬場あきこなどの大御所は、高齢になってくると、文字数の多い歌も作っておられる、また小谷先生の好きな歌人である松平修文には、それこそ45文字や46文字なんてのもある。逆に22文字などの短い歌を詠む歌人もある。そこで、実験をしてみた。小谷先生がどんなコメントをされるのか?

〈煙を靡かせて〉は、省略できるのではないか。火を焼べると煙が出るのは当たりまえだから。それは読者の想像に任せるのがよい。

★ブータンの霧の流れる峠にて火を焼べ悪霊払う老い人

なるほど、これなら32文字に収まります。参考までに、長い歌と短い歌を載せておきます。

※私が何処にもいないとおもう夕焼けに向きて啼く鳥籠の小禽(とり)が私であると気づくまで     

松平修文 『原始の響き』45文字

 

※シオまみれの鮭いまいく人に送りたきかな

高瀬一誌『喝采』22文字

 

※妻 母を忘れ 学生気分に戻るわずかな快感タバコの煙ゆっくり吐き出す

この歌は、途中で文字空けをしたり、575なんてリズムもない。これは自由律短歌というらしい。  

光本恵子『薄氷』42文字

☆自由律短歌はいまや許容範囲「青の時代」からピカソが変化したように

これも文字数は38文字です。       

短歌を短歌で詠むのは、メタ短歌というらしい。説明が過ぎると、プロパガンダ短歌になってしまう。いつも悪いという訳ではないが、この歌は説明的になっている。歌というものは、説明してはいけない。

★自由律はいまや許容の範囲ならんピカソは「青の時代」から抜けし

小谷先生の言葉:自分の気持ちを概念などによって言い表すことは、ストイックに避ける。描写することに徹した叙述のしかた。こうした、主観の表出を避けた、直感的にイメージをつかみ取らせるような、客観的な描写法に私もあこがれて作品に求めたことがある。

そして、アララギ派の昭和短歌の理想として、提示されたのが以下の歌であった。

※黄塵にけむる昼過ぎたかむらの孟宗竹が皮を脱ぐ音

※唐辛子の赤き一束吊り下げて晩夏の海へかたむく苫屋(とまや)

※えのころ草揺るる夕暮溝川を水ひかりつつ水を追い越す

※山坂を演歌流して下りきぬ魚屋今日は幼を連れて       

藤本則子『蝸牛も過客』2014.2

  

 

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