橋本忠雄ブログ

2020年3月11日 20:16

短歌の部屋(75)

短歌を始めてから、早いものでもう5年目になります。
初期の頃に比べると、短歌にたいして少しは理解が進んだと思います。
それで、2年前からトライしている「白珠30首詠」の作品を
発表したいと思います。

まずは、2018年に初めて応募した作品です。
「出かける医療」というもので、私の日常診療を描いたものです。
入選はしませんでしたが、佳作を頂いた作品です。
読んで頂ければ、幸いです。

 

1:四十年前にクリニックを始めた目指したのは「出かける医療」

2:開業の初日は患者ひとりも来ず胃が痛みだした昼食のとき

3:クリニックはクリーニング屋とまちがわれ洗濯物を持ちこまれたり

4:冬の朝に診察をはじめる両手と聴診器をあたためてから

5:難病の診断さぐり打腱器を執る人気(ひとけ)のない午後の外来

6:同い年の患者に癌が見つかった たじろいでいるオペを勧めながら

7:「名医やな」脳外科医が褒めたという硬膜下血腫みつけた我を

8:「先生は長生きしてね私より」涙ぐんでた 父を亡くした娘(こ)が

9:夜診おわり友人と勉強をする医学の進歩に遅れないため 

10:講演会で質問がたくさん出た飲んでる薬や検査値のこと

11:病名や検査結果をノートに書いて渡しはじめた患者さんらに

12:母親を生かしてほしい白寿まで桜散る道を往診に行く

13:頼まれて往診すると肺炎だった午後は休診かれの主治医は

14:「遠いですね」往診中にナースが言うその道を来てくれていた患者

15:オリオン座を仰ぎ見ながら家を出る痛みにゆがむ顔が浮かんだ

16:散らかった部屋に老女は倒れていた枕元には私の写真 

17:喘息の患者の家に駆けつける酸素ボンベを深夜に積み込み          

18:口腔の癌を処置したわが手をば胸に抱きしめ頬ずりしたひと

19:転移して痛み苦しむ父を見て子らが頼みにきた安らかな死をと

20:頬と背を両手で摩る私に「しんどい」と言うまなこ見開き

21:看取りして家を出たときケータイが鳴って知らせたもうひとりの死

22:「お棺には先生の本をいれてね」胸のそばに置くと微笑んで見えたと

23:往診を終えて仏壇に手を合わす「おおきにじいちゃん喜んでますわ」

24:寝たきりの年寄りを風呂にいれたくて湯船を作った医院の二階に

25:「作ってな老人ホーム」息子に引き取られていくおばちゃんが頼んだ

26:引っ越しをしてゆくあなたに桜散るわたしの色紙を鞄に入れて

27:職員が老人ホームに名前を付けたゆっくりあんしんの「ゆくりあ」

28:「家に帰る」荷物持ちホールを行ったり来たりしている老人がいる

29:わが腕をつねってはしゃぐばあちゃんは先生だった瀬戸の小島の

30:家族と一緒に死後の処置をしながら泣いている医師や介護士

 

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