橋本忠雄ブログ

2020年4月 7日 08:22

短歌の部屋(76)

この作品「四十年ぶりの再会」は、2019年度の
 「白珠30首詠」に投稿し、入選を果たした作品です。

  内容を簡単に説明しておきますと、40年前イギリスでの勉強を終えて
 帰国する前に、2週間家族と一緒にヨーロッパを車で回ったのです。
 その当時は、貴司君と和喜君が生まれていました。
 ベルギー、ルクセンブルグ、ドイツ、オーストリアと順調に旅を続けていたのですが、
 スイスのレマン湖の辺りで、車が故障して動かなくなってしまったのです。
 その困っている時に現れたのが、スイスに住んでいたベトナム人のチャクというわけです。
 物語はそこから始まります。
 

 

40年ぶりの再会 

1. 文箱の整理をしていたらたまたま出てきた古い手紙 スイスのチャクの

2. 故障した車の下を覗いていると声かけくれたるベトナム人           

3. 夕食に誘ってくれた 手作りのチャーハンの味まだ覚えてる         

4. 玄関の小さな花器を撫でながらしきりに褒めた日本の技を           

5. フランスへ旅立つ朝にハグをして見送ってくれたレマン湖のほとり   

6. 妊娠を知らせる手紙が彼から届き「高齢出産が心配」と言う         

7. 送ってきた娘の写真のあどけなさチャク似の笑顔ははにかんでいて   

8. 再会を果たせぬままに思いだす別れた時の手のぬくもりを           

9. 三十年ぶりに手紙を出せば返事が来た「旅行しようベニスへ」と    

10. 雪が降り風が頬刺す縄手町兜を買った彼への土産に               

11. 思い浮かべるたった二日会っただけのチャクとベアトリーチェの顔を

12. 空港で待ってたチャクが駆けよりて妻にくれたる鈴蘭の花          

13. 林檎の木に白い花つき鈴蘭が一面に咲いている小さな庭            

14. 早朝の寒さにふるえ珈琲を飲んで待ってるチューリッヒの駅        

15. ゴンドラが波を光らせ進みゆく窓に渡した洗濯物の下を            

16. 石畳の雨に光っている道を仮面被った男らが来る                  

17. 海からの風にベールを靡かせてポーズをとっている花嫁たち        

18. ブローチを買っている彼 宵闇の灯りこぼれる小さな店で            

19. サン・マルコ広場でピザを食べてるとシスターが来るバラを抱えて  

20. 改札はなけれど切符を買い次々と地下鉄に乗るヨーロッパの人      

21. まちなかに物乞いは寝ておりオペラ座に人が集まっているけれど    

22. ベニスでもドナウ川でも欄干に鍵が鈴なり恋人たちの              

23. 若者らたむろしているロビーの隅に自販機のありコンドームの      

24. 「撮影OK」と言ってくれる人あり美術館で絵を観ていると         

25. 音大の卒業試験を聴きに行けばフルート吹く娘のやわらかな頬      

26. 聖堂の聳える墓地の一画は墓が洗われ花そえてあり                

27. 天才たちが眠る墓 モーツァルトとベートーベンに薔薇を供えた    

28. 彼の目に涙が浮かんだ ドイツ語と日本語で「蛍の光」を歌えば      

29. 宵闇のウィーンの町に見送れば振り返りつつ駅に消えたり          

30. チャクがメールで言ってきた「来年も何処かへ行こうよ 人生は短い」

 

 

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