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書評コーナー
●橋本 忠雄 集
私たちの希望はどこにあるか 加藤周一 著 かもがわ出版 571円
加藤周一という方には、朝日新聞夕刊の「夕陽妄語」で、時々お目にかかるが、大変博学な方である。彼の文章の内容は、洋の東西を問わず、あらゆる知識人、あらゆる歴史的事実、あらゆる文学・芸術に及び、こちらの知識の乏しさのために、包括的に理解するのが大変難しいというのが、実感である。しかし、この本は、加藤周一氏の講演をまとめたものであるので、非常に分かりやすい。
 
現代日本の代表的な知識人が、「戦争」に対してどんな考えを持っておられるかを知るのは大変参考になるであろう。
 まず彼は、「日本は絶えず戦争をしてきました」と切り出します。
明治維新以来、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、日中戦争、そして第二次世界大戦と、10年ごとに戦争を繰り返してきた。そして最近の50年間が、日本の近代史上初めて戦争をしてこなかった珍しい時期にあたる、ということです。 (若い人には、戦争の実感が無いだろうが、高齢者には戦争のほうが常態であって、50年間も戦争をしてこなかったというほうが、むしろありえなかったこととして、喜びの気持ちとともに驚異に感じられるのではないだろうか。逆にいえば、それほど戦争というのは、権力者が簡単に起こしてしまうものなのであるから、若者こそ絶えず目を覚まし、社会を見つめ、政治の動向に関心を持ち、戦争の萌芽が認められれば、ただちに反対行動をとるくらいの気構えが必要なのではないだろうか・・・・・)

しかし、イラクに自衛隊を送り出すようになった日本は、将来徴兵制を導入するのではないか、第一に徴兵制には反対したほうが良いが、第二には良心的徴兵拒否の制度を要求するべきだといわれます。ということは、彼は、日本でかなりの確率で徴兵制が実施されると危惧しておられるのではないでしょうか?
また、戦争は決して英雄的なことではなく、日中戦争以来の日本軍人・軍属約230万人の死者のうち、約6割・140万人は栄養失調による病気や飢えであった。
また、戦争宣伝は嘘である。それは、ブッシュの対イラク戦争の言辞をみれば、一目瞭然である。また、戦争に希望は無い。戦争が終わってもろくなことは無い。
だから、私たちは戦争をやめさせるために何に希望をもつのか?

1. まず、迷うことが大事。反対すべきか賛成すべきか?
2. 次に、迷った末、戦争を拒否して平和をとるという立場をはっきりさせる
3. 何らかの行動に出る
@ 選挙
A デモ
B ストライキ
C 多くの人にしゃべる
D 政治家などへの手紙

など、思いつく事のすべて・・・・・それぞれの人が色々な手段で行動することが大切である。
そのためには、大勢の人が特定の方向に向くときは、そちらへなびかないということ(横の関係)。また、長いものには巻かれろ式の(縦の関係)に屈しないこと。

ブッシュのイラク侵略に抗議して、戦争が始まる前から、世界中で何千万の人々が反戦デモを繰り返した。また、アメリカの知識人たちもブッシュ批判の声をあげ始めたし、アメリカの世論も変わる兆しがある。そういう点では、我々は希望を失ってはいない。

今の世界の情勢をどう考え、我々は如何に行動すべきか?
特に若い人に読んでいただきたいものです。クリニックに置いておきますので、どうぞお持ち帰りになられてお読みください。   2004年2月24日 
書評:橋本 忠雄



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