ヘリコバクター・ピロリのひみつ
なぜ強酸性の胃の中でも生きられるのか?
感染経路
マーシャルの人体実験(「発見の歴史」参照)で証明されたように、口から入って感染するということは間違いないようです。感染経路はいくつかの説があげられています。
①口−口感染(歯垢やだ液からピロリ菌が検出された)
②糞−口感染(糞便からピロリ菌が検出された)
③飲料水からの感染(海外で水道水からピロリ菌が検出されたところもある)
④動物を媒体とした感染(ハエ・ネコなど)
⑤内視鏡を媒体とした感染
一時「内視鏡を媒体とした感染」が注目されましたが、日本消化器内視鏡学会から「内視鏡の洗浄、消毒に関するガイドライン」が出され、内視鏡の洗浄・消毒が厳重になされるようになりました。
ピロリ菌の除菌
ピロリ菌が粘膜障害を起こすメカニズム
多くの説がありますが、はっきりとは分かっていません。おそらく1つだけでなく複数のメカニズムがからんでいると考えられています。空胞化毒素?(ピロリ菌が出す毒素で粘液細胞の中にすきまができる?)アンモニア?(ピロリ菌の出すアンモニアが直接粘膜を傷つける?)活性酸素?(好中球(ピロリ菌に感染すると集まってきて炎症をおこす白血球の一種)が活性化すると出てくる活性酸素が粘膜を破壊する?)粘液細胞の直接障害?(ピロリ菌が粘液細胞の粘液を含む部分をこわしてしまう?)
ピロリ菌除菌治療に使う薬について
ピロリ菌の除菌治療は「プロトンポンプ阻害剤(PPIと略します)+抗生剤(抗生物質)」という組み合わせで行われます。PPIは潰瘍の薬で、胃酸の分泌を強力に抑える働きがあります。
抗生剤はいわゆる抗生物質のことで、菌(ピロリ菌)をやっつける薬です。PPIを一緒に使うことで胃の酸のために抗生剤が働かなくなってしまうのを防ぎます。抗生剤2種類を、PPIとあわせて使うことから「3剤併用療法(3ざいへいようりょうほう)」と呼ばれます。
現在保険で認められているのは、PPIにランソプラゾール、抗生剤にアモキシシリンとクラリスロマイシンという組み合わせで1週間、全部で50錠ほどを飲むことになります。
平成14年12月より「ピロリ菌除菌治療」に飲む3種類の薬が1日分ごとにパックされました。この薬ができたので、「薬の飲み方がむずかしい」・「薬の飲み忘れ」などの問題が改善されました。
この「パックした除菌治療薬」により、『簡便』、『正確』、『確実』な除菌治療が可能となりました。なお、これまで通りに「パックしてない除菌治療薬」を利用することにもできます。胃潰瘍や十二指腸潰瘍でお困りの方は、一度、専門の医師にご相談されてみてはいかがでしょう。
ピロリ菌のウワサ、こんな事まで!?
1979 年、オーストラリアのロイヤル・パース病院の病理専門医ウォーレンが、胃炎をおこしている胃粘膜にらせん菌が存在していることを発見しました。ウォーレンは同じ病院に研修医としてやってきたマーシャルと共に研究をすすめ、この菌が「胃に住みついている」ということを確信し、この菌によって胃炎がおこると考えました。これがヘリコバクター・ピロリです。(以下ピロリ菌とします)ピロリ菌は人間の胃の中に住んでいる細菌です。 1980年代に発見されましたが、この菌が胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因となっているということが、近年明らかになってきています。 長さは4ミクロン(4/1000mm)で、2〜3回ゆるやかに右巻きにねじれています。片側(両側の場合もあります)に4〜8本のべん毛がはえています。ピロリ菌は胃の粘膜を好んで住みつき、粘液の下にもぐりこんで胃酸から逃れています。 ピロリ菌は胃の粘膜を好んで住みつき、粘膜の下にもぐりこんで胃酸から逃れています。また、十二指腸の粘膜が胃と同じような粘膜に置き換わってしまった場所(胃酸から十二指腸を守るためにこのような変化をする場合があります)では、ピロリ菌が住みつくこともあります。 |
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| このため、ウォーレンとマーシャルはこのらせん菌を分離・培養しなければなりませんでした。 二人は、このらせん菌の分離・培養にとりかかりました。通常の細菌の培養では、菌を培地に植え付けて、培養器に入れて48時間後に培養できたかどうか確認します。 ふたりもそのようにしていましたが、なかなかうまく培養できません。幸運が訪れたのは培養中にイースター(復活祭)の休日が入り、培養器に5日間いれたままにしてしまった35番目の検体でした。なんと、直径1mmの透明な菌の固まりができていたのです。1982年4月14日のことでした。(実はピロリ菌の培養には最低4日かかるのです)培養に成功した菌は、これまでに見たこともない新しい菌であることがわかりました。 このことは1983年に発表され、世界中の注目を集めました。さらに1984年7月、マーシャルは培養したこのらせん菌の固まりを自ら飲み込むという人体実験を行いました。10日目に胃の組織を取って調べると、急性胃炎を起こしており、そこにはあのらせん菌が存在していました。これでコッホの4原則が立証されたのです。日本では、兵庫医科大学が1984年に日本で初めてピロリ菌の培養に成功しました。 |
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| ピロリ菌の正式名はHelicobacter pyloriというつづりです。[helico-] という言葉はギリシャ語の [heliko-] から来た言葉で、「らせん」「旋回」を意味しています。(ヘリコプターの「ヘリコ」と同じです)[bacter] はバクテリア(細菌)を意味しています。[pylori] は胃の出口(幽門:ゆうもん)をさす「pylorus」から来ており、この菌が胃の幽門部から多く見つかることに由来します。 |
なぜ強酸性の胃の中でも生きられるのか?
| 胃の酸度はpH1〜2です。ピロリ菌が活動するのに最適なpHは6〜7で、4以下では、ピロリ菌は生きられません。ではなぜピロリ菌は胃の中で生きられるのでしょうか? 秘密はピロリ菌の持つウレアーゼという酵素です。この酵素によって胃の中の尿素という物質からアンモニアを作り出すのです。アンモニアはアルカリ性です。このアンモニアが胃酸を中和するのです。 そのようにしてピロリ菌は自分の周りに中性に近い環境を自分で作り出すことができるので、強酸性の胃の中でも生きていられるのです。 | |
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| ピロリ菌の感染率(人口の何%の人が感染しているか)は国によってずいぶん違います。大まかに言えば、発展途上国で高く、先進国で低くなっています。特に上下水道の普及率の悪い所で高いとされています。また、同じ国の人でも経済状態によって感染率が変わってきます。アメリカの白人の調査では年収が高い人の方が低い人よりも感染率が低いという結果が出ています。そのような中で、実は日本人のピロリ菌感染率は先進国の中で際立って高いのです。 | |
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| 1986年に兵庫医科大学で行われた調査では、40歳以上では発展途上国型、40歳以下では先進国型の感染率を示しています。 これは、当時40歳以上の方は戦後の衛生状態が悪い時代に生まれ育ったため、このような高い感染率を示したと考えられています。 1998年の調査ではそのグラフが右に移動した形になっており、日本でも、衛生状態の良い環境に育った若い人たちの感染率は低くなっていることが示されています。 | |
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感染経路
マーシャルの人体実験(「発見の歴史」参照)で証明されたように、口から入って感染するということは間違いないようです。感染経路はいくつかの説があげられています。
①口−口感染(歯垢やだ液からピロリ菌が検出された)
②糞−口感染(糞便からピロリ菌が検出された)
③飲料水からの感染(海外で水道水からピロリ菌が検出されたところもある)
④動物を媒体とした感染(ハエ・ネコなど)
⑤内視鏡を媒体とした感染
一時「内視鏡を媒体とした感染」が注目されましたが、日本消化器内視鏡学会から「内視鏡の洗浄、消毒に関するガイドライン」が出され、内視鏡の洗浄・消毒が厳重になされるようになりました。

ピロリ菌の除菌
| 胃潰瘍・十二指腸潰瘍については、ついに日本でも2000年11月より、ピロリ菌の除菌療法が保険で認められるようになりました。(アメリカ、イギリス、フランスなど海外ではずいぶん前から認められていた国もあります) | |
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| ピロリ菌の除菌に成功すると、 ・ 何度も再発を繰り返していた潰瘍の再発がおさえられる ・ 維持療法(潰瘍が治った後も、再発予防のために薬を飲み続けること)が必要なくなる などの効果があります。 ただし、除菌の治療は中途半端でやめたりすると、ピロリ菌が薬に対して耐性をもち、次に除菌しようと思っても薬が効かなくなるおそれがありますので、必ず医師の指示通りに薬を飲むことが必要です。 また、除菌治療は1週間ほどで終わりますが、その後も潰瘍の治療は一定の期間必要になることがあります。 |
ピロリ菌が粘膜障害を起こすメカニズム
多くの説がありますが、はっきりとは分かっていません。おそらく1つだけでなく複数のメカニズムがからんでいると考えられています。空胞化毒素?(ピロリ菌が出す毒素で粘液細胞の中にすきまができる?)アンモニア?(ピロリ菌の出すアンモニアが直接粘膜を傷つける?)活性酸素?(好中球(ピロリ菌に感染すると集まってきて炎症をおこす白血球の一種)が活性化すると出てくる活性酸素が粘膜を破壊する?)粘液細胞の直接障害?(ピロリ菌が粘液細胞の粘液を含む部分をこわしてしまう?)

ピロリ菌除菌治療に使う薬について
ピロリ菌の除菌治療は「プロトンポンプ阻害剤(PPIと略します)+抗生剤(抗生物質)」という組み合わせで行われます。PPIは潰瘍の薬で、胃酸の分泌を強力に抑える働きがあります。
抗生剤はいわゆる抗生物質のことで、菌(ピロリ菌)をやっつける薬です。PPIを一緒に使うことで胃の酸のために抗生剤が働かなくなってしまうのを防ぎます。抗生剤2種類を、PPIとあわせて使うことから「3剤併用療法(3ざいへいようりょうほう)」と呼ばれます。
現在保険で認められているのは、PPIにランソプラゾール、抗生剤にアモキシシリンとクラリスロマイシンという組み合わせで1週間、全部で50錠ほどを飲むことになります。
平成14年12月より「ピロリ菌除菌治療」に飲む3種類の薬が1日分ごとにパックされました。この薬ができたので、「薬の飲み方がむずかしい」・「薬の飲み忘れ」などの問題が改善されました。
この「パックした除菌治療薬」により、『簡便』、『正確』、『確実』な除菌治療が可能となりました。なお、これまで通りに「パックしてない除菌治療薬」を利用することにもできます。胃潰瘍や十二指腸潰瘍でお困りの方は、一度、専門の医師にご相談されてみてはいかがでしょう。

ピロリ菌のウワサ、こんな事まで!?
| まだはっきりとしたことは言えませんが、世界中でピロリ菌についての研究が進められています。 ・胃癌をおこすかもしれない? ・食道癌を予防しているかもしれない? ・慢性じんましんをおこすかもしれない? ・NUD (上部消化管不定愁訴)の原因かもしれない? ・ペットから感染するかもしれない? ・心筋梗塞をおこしやすくする原因のひとつかもしれない? ・水道水にいるかもしれない?(海外の報告) ここにあげたものは、まだ十分明らかになっていないので、今のところあくまで「うわさ」としてとどめておいて下さい。 | |
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培養法 |
| 組織を培地に植えて培養する。発育した菌を使って薬が効くかどうかなども試験できる。設備が必要で判定に時間がかかる | |
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迅速ウレアーゼ試験 |
| 試験液の色がピロリ菌のウレアーゼの働きで変わるかどうかを見る。判定時間が短いが、除菌治療直後はやや不正確になる。 | |
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鏡検法 |
| 内視鏡時に採取した組織を染色して顕微鏡で観察する。 組織をとる場所によってはピロリ菌がみつからないこともある。 | |
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UBT |
| 13C尿素(炭素原子にしるしをつけた尿素)がピロリ菌によってアンモニアと二酸化炭素に変わることを利用し、呼気のなかの13Cを測定する。精度が優れていて簡便。 | |
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血液検査 |
| 血液検査でピロリ菌に反応する抗体があるかどうか検査キットで判定する。除菌後抗体が低下するのに時間がかかる。※血液ではなく尿からも抗体の測定ができます。 | |
| 日本ヘリコバクター学会ガイドラインより | |||||||||||||
| ピロリ菌の除菌により、潰瘍の再発を有意に低下させることができる。 (抗生剤2種類とPPI1種類の3剤併用、1日2回1週間投与) 少ない副作用で約90%におよぶ効果的な除菌率が得られる。 | |||||||||||||
| ●副作用 | |||||||||||||
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| ●ピロリ除菌治療の適応疾患 | |||||||||||||
| (A) ピロリ除菌治療が勧められる疾患 (B) 専門施設でのピロリ除菌治療が勧められる疾患 (C) ピロリ除菌治療の意義が検討中の疾患 | |||||||||||||
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| ※ NUD:消化性潰瘍と類似の上腹部症状が長期間持続するが 器質的な異常が認められないもの | |||||||||||||
| ●ピロリ感染診断から除菌治療まで | |||||||||||||
| 【上腹部症状保有者】 | |||||||||||||
| ① 迅速尿中抗体検査 ②迅速全血抗体検査 ③尿素呼吸試験 | |||||||||||||
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| 【胃X線透視または内視鏡検査】 | |||||||||||||
| ① 迅速ウレアーゼ試験 ②培養法 ③組織鏡検法 | |||||||||||||
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| 【ピロリ除菌前診断】 | |||||||||||||
| 尿素呼吸試験 | |||||||||||||
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| 【ピロリ菌陽性】 | |||||||||||||
| 活動性消化性瘍:除菌後潰瘍治療(除菌1週間+潰瘍治療薬) | |||||||||||||
| 除菌前潰瘍治療薬(潰瘍治療薬+除菌1週間) | |||||||||||||
| 消化性潰瘍瘢痕:除菌療法単独(除菌1週間) | |||||||||||||
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| 【PPI投与終了後4週以降】 | |||||||||||||
| ピロリ除菌判定 | |||||||||||||
| 尿素呼吸試験 | |||||||||||||
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| 除菌成功:6〜12ヶ月後にピロリ菌の再判定 | |||||||||||||
| 除菌不成功:専門施設に紹介、最除菌又は維持療法 | |||||||||||||





















1979 年、オーストラリアのロイヤル・パース病院の病理専門医ウォーレンが、胃炎をおこしている胃粘膜にらせん菌が存在していることを発見しました。ウォーレンは同じ病院に研修医としてやってきたマーシャルと共に研究をすすめ、この菌が「胃に住みついている」ということを確信し、この菌によって胃炎がおこると考えました。























