橋本クリニック

クリニック院長 橋本忠雄ブログ

環境問題はなぜウソがまかり通るのか 

橋本忠雄 (2008年12月 1日 13:57)

武田邦彦著 kannkyou2.jpg 洋泉社  952円

 

「環境問題」に関する私のイメージはどんなものだろうか?
1. 北極の氷が解けて、白熊が生きていけなくなる
2. エスキモーも、狩猟生活ができなくなり、工場などで働き始める
3. 台風(ハリケーン)が、異常に発生し、人類に大災害を与える
4. 海水面が上昇して、ツバルなどの珊瑚礁の国が沈む
5. 国や企業は、CO2の発生削減に努めなければ、気温は上昇し、人類は
この地球に住めなくなる

 

 6. 北極海に流れ込む海流も暖かくなって、更に温暖化の速度が進む
7. 今までどおりの作物が取れなくなり、人類は食糧問題で困難に陥る
8. 石油という資源は、いつか無くなるであろう。それまでに、代替エネルギーを開発しなければならない
9. その為には、太陽、風力、バイオ、原子力などが、使われ始めているが、大丈夫か?
10. 日本は、温暖化に対する技術が一番発展しているというのに、何故温暖化防止の京都議定書を守れないのか?政治の貧困があるのではないか?
11. しかし、今まで食糧であったトウモロコシやサトウキビを食べずに、エタノールに変えて、自動車を走らせるのは、おかしい。地球上には、飢餓に直面している多くの人がいるのに
12. リサイクルは積極的に進めなければならないが、ゴミを捨てるための専用ゴミバッグというのは、かえってエネルギーを消費しているのではないか
13. リサイクル施設(廃プラ)が、各市に出来ているが、環境被害を出しているらしい。それに利権も絡んでいるようだ。
 13.私たちも、こまめに電気を消したり、水を節約したり、努力する
必要がある
    
 まあ、こんなところが、私の環境問題に関するイメージである。
以前、『不都合な真実』を、書評欄で紹介し、ゴアにはノーベル賞がふさわしい!
と、書いた私であれば、「環境問題のウソ」と言われても、けったいな本やな
ぁ・・・という印象であった。
 しかし、まあ読んでみるか・・・と買ってみた。

 読後の感想は、驚きの一言であった。
著者も、温暖化の原因として、人間の活動によるCO2の排出が一番大きいよう
だとしている。温暖化自体は、否定していないのだ。ただ、その情報が間違っ
ている。例えば、ゴアが言うように、今後60年で海面が6メートルも上昇する
ことはありえない、と言う。

著者の主張をまとめてみると、
① 地球温暖化の半分の原因は、人類が出す二酸化炭素である
② IPCCの描くシナリオでは、こらからの100年で2.8度気温が上がると予想
されている
③ おなじく海面は、これからの100年で21~48センチ上昇する
④ だから、人類が生存の危機に陥ることは、まずないのだ
⑤ IPCCの報告では、これから"数千年"も温暖化が続けば、グリーンランド
の氷はなくなり、海面は7メートル上昇する。しかし、おそらく石油も現代
文明も数千年はもたないだろう

だから、環境問題としての温暖化は否定していないわけで、ただ今まで私た
ちが持っている温暖化のイメージとは随分違うのである。
その原因として、著者は、政治的にも鋭い指摘をされている。
それは、各章の題を見れば明らかである。

第1章 地球温暖化は、環境問題ではなく政治問題だ
第2章 バイオ燃料が世界の格差を拡大させる
第3章 意味のないリサイクルを早くやめないか
第4章 環境問題はどうして正しく伝わらないのか
第5章 環境問題のここがヘン!(対談 武田邦彦×池田清彦)

なぜ、京都議定書を、日本が守れないのか? この私の疑問に答えてくれる
のが、第1章 第1節で、「京都議定書のトリック」として述べられている。
 とても参考になる意見だ。これで私の疑問のひとつが、氷解したように思う。
 
しかし、温暖化問題は、もっと勉強しなければならないと、思った。
笠井亮著『政治は温暖化に何をすべきか』という本も買ってある。読み比べて
みて、より正しい理解に進むことを期待しよう。    08年12月1日