宮台 真司 著 世界文化社 1365円
民主党小沢代表の秘書が、西松建設からの政治資金規正法違反で逮捕され、
マスコミでは、連日怒涛の如き報道がなされている。
それはまるで、小沢氏が何か巨大な罪を犯したかのようである。確かに、巨額のお金を企業から受け取っていたのは、いいことではない。しかし、今の制度では、罪には当たらないのである。何か斡旋利得などの事実があったのか?
秘書を逮捕するほどの事件なのか?
これは、元検事の郷原氏が、今日のサンプロ(3月29日)で、小沢氏に罪は
なく、明確に検察捜査の失敗であったと、述べられている。
しかし不思議に思うのは、何故この次期に小沢氏であって、自民党ではない
のか?
企業からの政治献金は、その額も件数も明らかに政権党である自民党に多い
のに、何故自民党に捜査が及ばず、何故はじめに民主党の小沢氏なのか?
こういう視点に立った報道は、殆どない。何故か? 政権交代が目の前に見
えてきた今の時期に、次期首相になるだろうと目されていた有力政治家の秘書
を逮捕するというのは、「国策捜査」との批判を受けざるを得ない。しかし、捜
査自体の問題点を取り上げた記事には、お目にかからない。
各種商業新聞をはじめ、しんぶん赤旗でも、小沢氏を批判して止むところが
ない。世論も検察のリーク、マスコミの報道に踊らされて、小沢氏は代表を辞
任すべきだとか、彼の説明に納得できないと言う。しかし、それは垂れ流しの
マスコミ報道を、無批判に受け入れているからではないのか?
もしこういう状況で、政権交代がなされなかったならば、この日本には、全
く期待できないということになる。
まさしく、田中真紀子氏が述べたように、「国民の成熟度」が試されているの
である。
今の政治状況は、以上のようなものであるが、それゆえ、昨年の5月に出版
されたこの「国策捜査」という本が、良く売れているらしい。
警察や検察、司法を批判しているこの本は、根本的な問題点を指摘してくれ
ている。
登場するのは、14人の人物である。
村上正邦氏(KDS事件)、三井環氏(検察の裏金作りを告発)、鈴木宗男氏、村
岡謙造氏・上杉光弘氏(日歯連事件)、尾崎光郎氏(業際研事件)、安田好弘氏
(山口市光市の母子殺人事件・和歌山カレー事件などの弁護士)、田中森一氏(石
橋産業事件)、西山太吉氏(沖縄密約事件)、中山信一氏(志布志での公選法違
反事件)、神林広恵氏(『噂の真相』をめぐる名誉毀損事件)、細野祐二氏(株価
操縦事件)、佐藤優氏(外務省背任罪)などの被告になった人たちが、登場する。
皆さんもご存知の方も多いかと思うが、それらの事件の詳細は、どれほど知
っておられるだろうか?
また、検察の垂れ流し情報を批判的に受け止めることのできる国民は、ま
ったく少数であろう。
こんなことで、世の中が動かされるとしたら、不正極まりない。しかし、権
力というのは、それほどまでして、国民を欺き、政敵を倒そうとするものなの
である。権力恐るべし、である。 09年3月29日



























