橋本クリニック

クリニック院長 橋本忠雄ブログ

資本主義崩壊の首謀者たち

橋本忠雄 (2009年5月12日 15:26)

 広瀬隆 著  集英社新書  720円sihonn.jpg

世界金融崩壊の実態、本質を、見事に捉えた本である。
これほど多くの情報を的確に把握し、現在の世界を動かしている人脈・閨閥を
明らかにするには、相当な勉強が必要になる。
 まずは、著者の博学に心から敬意を表したい。

  話は、資本主義が崩壊した事実から始まる。1989年11月9日にベルリンの壁  
は崩壊したが、トマス・ジェファーソンが起草した独立宣言によって建国して以来、230余年、2008年をもって、アメリカの資本主義は幕を閉じた。

   何故なら、アメリカ経済を立て直すために、1400兆円などという莫大な金を注ぎ込むなど、紛れもなく社会主義や共産主義国家のルールだから。
 だから、「資本主義は崩壊した」という認識からこの本は始まる。

現在の金融崩壊が、いつ正常に戻るのか気になるところですが、かって(1929年の暗黒の木曜日)から、株価が元に戻るまで、25年を要したことを覚えておかなければならないでしょう。(朝鮮戦争が休戦した翌年の1954年にやっともとの株価に戻ったのです!)。
 だから、今度の金融崩壊は、いつ回復するのか? または、資本主義は崩壊したのだから、もう元には戻らないのか? 別の秩序に移行するのか?
 とても注目されるところです。

 投機屋の総本山は、シカゴの商品取引所(CBOT):穀物価格を動かすもう一つは、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所):為替、金利、畜産物、サブプライム・ローン、農産物に関する天候、CO2削減に関する排出権取引・・・・。

 本来、取引の対象にならないものを、取引している。『天候』を取引するなん
て、常識人には理解しがたい行為ですね。そういえば、日経平均に連動して利
息が動くなんて商品もありますが、なんでこんなことを考えるのかと、不思議
な気がしましたが、金融商品を考える人間にとっては、なんでも商品になりう
るのですね。そして、儲けるのはそれらの商品を売りさばくギャンブラーたち
と大口の投資家であり、一般人や世界中の多くの国民は、損をさせられるとい
うのが、実態ではないでしょうか。

 世界の金融を動かしている二つの閨閥といえば、まずリーマン・ブラザーズ
が挙げられますが、(元ドイツ系ユダヤ人のレーマン家が、19世紀にアメリカに
移住したのが始まり)の系図には、あのゴア元副大統領が載っています。ここ
にCO2取引の怪しさが隠されているのでしょうか?!

 もう一つの家系は、ロスチャイルド家。(産業革命と共に、フランクフルトの
ユダヤ人ゲットーから台頭した両替商のロスチャイルド家の5人兄弟が、財閥
を形成していった)。

金融の世界には、ユダヤ人以外の大物もたくさんいるが、必ずユダヤ系と深い
関係を取り結んで、出世してゆきます。そこには、長い歴史があるとのことで
す。(但し、著者は、下記の如く注を付けています)
 ――気をつけなければならないのは、ここで言うユダヤ人が、金融界の大物
であり、ユダヤ人全体を代表するのではなく、世界最大の金融財閥ロスチャイ
ルドの息のかかった人脈だということです。

しかし、無から有を生み出す博打のような金融政策に、ノーベル賞の受賞者が
数人(ポール・サミュエルソンやローレンス・サマーズなど)関わっているな
んて、俄かには信じられない事実ですね。これには、ノーベル家の子孫たちの
の声を載せておきましょう。
 ――ノーベル経済学賞などというものは、アルフレッド・ノーベルの遺書に
はなかった。スウェーデン中央銀行が勝手に創造したものであり、ノーベル賞
ではない。人類に貢献しない。

第3章は、日本がとるべき新しい進路と、なっています。是非お読み下さい。

要約すると
1. ライブドアのニッポン放送・フジTV株の買付資金を提供したのは、リー
マン・ブラザーズであった。これで100億円の利益を上げた。
2. その堀江を経済改革の旗手と持ち上げた竹中・小泉の愚かさ。
村上ファンドに投資して、資産転がしをしていた福井日銀総裁。
リーマン・ブラザーズのジャパン・アドバイザリー・ボードメンバーと
いう顧問役になっていた榊原英資や堺屋太一ら。リーマンの鴨ねぎにさ
れるような人間が、ぞろぞろと、国家の財務を担当し、評論家としてま
かり通る。それが日本の実態である。
3. 日本は、アメリカ国民を助ける前に、100兆円の紙屑(アメリカ国債)を
売って、苦しんでいる日本の国民を助けるべきだ。
4. 輸出企業が、日本人を豊かにしているというのは、嘘。トヨタや部品工
場で働いた労働者が預金した金が、どんどんアメリカに流れて、アメリ
カのバブルを生み出し、日本経済を益々弱くしてきた。大企業は儲かっ
ても、労働者の生活は全く良くならなかった。これは事実である。
5. 郵政民営化は、日本人が行ったものではない。"日本に眠っている郵貯"
という巨大な金融資産を、市場に吐き出させ、アメリカのウォール街が
自在に使えるように、思慮のない小泉内閣をたぶらかして行われた民営
化であることは、アメリカでは初めから常識でした。
6. 植民地主義は、今や、近代的な衣装をまとっている。それは経済的な支
配だ。知的な支配だ。(スカルノ大統領1955年 バンドン会議にて)
7. アメリカの罪は、金融腐敗だけではない。イラクへの軍事攻撃、遺伝子
組み換えによる農作物の支配、Google ブック検索によって、「著者に無
断で」書籍を閲覧できるサービスを広めるなど、許しがたい世界経済支
配を目論む狡猾な領域にまで入り込んでいます。
8. そのような傲慢な、世界中の平穏な生活を乱す国家が、かってあったで
しょうか? そのような大国ならば、この世から消えてもらう必要があ
ります。それには日本が、アメリカに対する金融支援を一切しない態度
を敢然と貫くことです。

最後に、"ニューヨーク・タイムズ"の漫画を載せておきます。
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なかなか秀逸なものであります。
 この漫画の、解説を載せておきます。
―― フランス革命時代の断頭台に送られるグリーンスパンが、言っています。
「わしは規制に反対してきたとも。そうだとも。だがわしは、強欲な
ウォール街の豚どもが、このように強欲なウォール街の豚のように行動すると
は想像もしなかったんだ! ショックだ! ショックだ!」と。
 後ろ手に縛られたグリーンスパンが乗った囚人護送の馬車に向かって、群衆
がこぶしを振り上げ、「ようやく奴もお縄頂戴だ」といったような文句も見えま
すが、よく見ると、左端の間抜けのような小男が、「馬車に乗っているのは誰だ
い」と尋ねています。大きな男が、「アラン・グリーンスパンだ。奴がおれたち
をこんな目にあわせたんだ」と答えて、「ところで、お前は誰だ」と訊いていま
す。この小男は、きっとグリーンスパンを重用してきた、かの大統領ブッシュ
でしょう。そのやり取りを、まわりの男たちがギロリとにらみつけています。

この漫画に対する著者の評は、以下の如くです。
―― "ニューヨーク・タイムズ"の漫画は、どうしてこのように、私が感じ
ていることを、巧みな描写で描いてくれるのでしょうか。この漫画のキャプシ
ョンは、本書の結論そのもので、最高傑作です。
                                                    09年5月12日