橋本クリニック

クリニック院長 橋本忠雄ブログ

丸腰国家

橋本忠雄 (2010年8月15日 21:07)

丸腰国家   足立力也著  扶桑社新書  760円s-4594058728.jpg

ネットでコスタリカを検索すると、なんと214万件もヒットするそうだ。
 10年以上前は、たった6件だったというから、コスタリカに対する関心は爆発的に増えたといえる。
さてそのコスタリカだが、本当に軍隊を捨てた国なのか? また、それが本当なら、

どうして可能になったのかを、究明するために書かれたのがこの本である。

 

第1章:コスタリカはどうやって軍隊をなくしたのか?
第2章:軍隊がなくても大丈夫なのか?
を、読むとその間の経過が良く分かる。

 

軍隊を正式に廃止したのは、1948年の大統領選で、選挙の不正で混乱した社会にあって、

一農園主のホセ・フィゲーレス・フェレールが、国民解放軍を組織し、武装蜂起し、

勝利したことに端を発する。
そして彼は、軍隊廃止宣言を行い、翌1949年に、常備軍禁止を謳った憲法が発布・施行された。

 

しかし、1948年といえば、日本の敗戦後わずか3年。朝鮮戦争の2年前に当たるわけで、

その先進性には驚かざるを得ない。

 

その後、コスタリカの人々がどのように平和を守ってきたかは、それぞれの章を読んでいただきたい。

 

第4章:コスタリカは軍隊をもてるのか?
第5章:コスタリカ人とはいかなる人たちか?
第6章:コスタリカ人が考える平和とは何か?
などに面白い指摘がある。

 

米州機構(集団安全保障条約)は、1951年に発足したが、これに加盟するに当たって、

コスタリカは、軍隊派遣義務の免除を条件に付けた。それで、加盟を認められたことで

、コスタリカは非武装を国際法的に確実なものにした。
また、ブッシュがイラクを侵略した時に、アベル・パチョコ大統領は、アメリカを支持したが、

街中で大規模なデモが繰り広げられ、「なんと恥知らずな大統領」と、新聞は書き、

9割以上の人々が大統領は間違った行動をとったと反対した。その結果、憲法小法廷は、

違憲判決を下している。
その時、新聞に1通の投書が載った。
「大統領は、コスタリカ人としてのアイデンティティを失った」と、あった。
平和を求めることこそ、コスタリカ人のアイデンティティであり、いかなる形であれ、

戦争に加担することは、コスタリカ人としてはあってはならないというのである。

 

このあたりの行動は、日本と引き比べてみれば、愕然としますね。
SHOW THE FLAG! BOOTS ON THE GROUND!と、恫喝されれば、すぐさま

イラクに自衛隊を派遣した小泉首相と、賛同したマスコミ。

 

広島・長崎の平和式典で、尚も核兵器の抑止力を呪文のごとく唱えるわが国の首相。また、

アメリカに従属するのが国益に叶うとするマスコミ。
おかげで、世界に冠たる憲法9条の価値を半減させてしまった。
世界から勝ち取れるはずの尊敬を失ってしまった我が国。
この姿勢では、いくら憲法9条を持っていたとしても、軍隊を廃止するなんてことは未来永劫無理でしょうね。

 

それともうひとつ、コスタリカ人の平和に対する捉え方について。

 

平和という言葉で、何を連想するか? と質問した時、日本の子どもの過半数は、戦争と答える。
コスタリカの子どもたちは、民主主義・人権・環境・愛・家族・理解などと、答える。
それだけ、平和に対する想像力が豊かなのだ。
平和と戦争を一対にしか考えられない日本人と、平和に対応する言葉をゆたかに持った

人々とは、おのずから生き方に違いが出てきているのであろう。

 

最後に、二人の言葉を記しておこう。
カレン・オルセン・デ・フィゲーレス:平和とは「終わりなき闘い」である。
マハトマ・ガンディー:平和に至る道があるわけではない。
道こそが平和なのだ。
             

                                                                                                      2010年8月14日