ドクターノート

2008年12月14日 02:13

逆流性食道炎


症例:58歳 男性

主訴

胸が痛い

現病歴
1ヶ月前から、時々胸が痛む。最初は午前3時頃、前胸部がぐっと収縮して硬くなるような痛みであった。次の日の午前8時、その日の夕方6時にも同じ症状が起こった。その後週に2〜3回痛みを生じる。胃も痛む感じがあり、嘔吐も2回あった。

所見
心音・呼吸音などに異常なし。
血圧140/80

検査
心電図:フラットT波 V5〜6
24時間心電図:84628拍中、上室性期外収縮 22回 心室性期外収縮 0回

検査
胸痛があり、心電図も異常を示したので、循環器内科に紹介し、狭心症でないかどうか診て貰った。

●返事は下記のものであった。
① 運動負荷SPECTにて、側壁及び後壁に軽度虚血を疑わせる所見あり。
CAG(冠動脈血管造影)が望ましい。
② CAGの結果は異常なし

●次に、逆流性食道炎を疑って胃カメラを行った。所見は下記のごとくであった。
下部食道に全周性に線状の粘膜びらん(癒合はしていない)を認める。
 

診断
以上より、この方の痛みは「逆流性食道炎」によるものと考えた。

治療
胃酸が、食道に逆流し、食道粘膜に炎症を起こすことが原因である為、胃酸をブロックする為に、タケプロンを処方 した。すると、痛みは数日にして速やかに消失し、以後発生しなくなった。この方の胃カメラの経過を図に示します。食道の炎症が良くなっているのが良く分か るでしょう。
下部食道における線状の粘膜びらんはほぼ消失している。

解説
文字通り、胃液が食道に逆流し、食道の粘膜が荒れる病気です。逆流の一番多い原因は、食道裂孔ヘルニアです。  
横隔膜の食道裂孔周囲の脆弱性のために、
食道・胃接合部および胃の一部が胸腔内に脱出している。
次 に進行性強皮症(PSS)があります。これは食道のコラーゲンが増えて筋肉が萎縮し、下部食道括約筋の力が落ちて、胃液の逆流を防げなくなるのです。3番 目は、胃の手術(噴門側胃切除術、胃全摘、噴門形成術)の後で噴門部が破壊されたり切除されることによって、胃液が逆流しやすくなるのです。治療は胃酸を 強力にブロックする薬(プロトンポンプインヒビター)すなわちタケプロンがよく効きます。また、寝るときに、胃液の逆流を予防する為に上半身を少し起こす ようにするのが良いでしょう。
 このように、胸の痛みでも肺や心臓に原因はなく、食道や胃が原因になっていることもありますので、注意が必要です。

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