ドクターノート

2008年12月 8日 02:10

正常圧水頭症


症例:75歳 女性

現病歴

6年前の12月より、歩行障害が始まった。歩いていると、だんだん早足になってしまいこけそうになる。尿意を催すと、我慢が出来ずに漏れてしまう様になった。ある病院で、パーキンソン病といわれ、薬を飲んでいたが、良くならない。物忘れはあまりない。

所見
筋強剛(筋肉が硬くなる)はない。手は震えているが、安静時振戦ではなく、重いものを持つと震えるようである。歩行は、両足を横に大きく開き、小刻みにたどたどしく歩く。外では押し車を使っている。

診断
パーキンソン病としては、筋強剛もなく、パーキンソン薬も効かないことからも、他の病気が考えられた。まず頭部MRIにて、脳の萎縮や他の病変がないかどうかを確かめた。

頭部MRI
脳室の拡大、PVH、皮質ポケットが見られる。(図1)正常な人のMRI(図2)と比べるとその違いが良くわかるでしょう。
(図1)
(図2)
以上より、診断は、正常圧水頭症と考えられた。正常圧水頭症の3大症状として

1.歩行障害
2.尿失禁 
3.痴呆 

などがあると言われているがこの方の場合のように痴呆が目立っていない場合もあります。

治療
本年6月K病院にて、髄液シャント(脳室にチューブを入れ、それを腹腔まで通す)を行った。

経過
術後10日目の歩行練習の時から、歩きやすくなっており、その後も日増しに良くなり、家の中でも、伝い歩きではなく、普通に歩けるようになってきた。又、尿も漏れないようになってきた。

解説
脳は1日に約500mlの髄液を生産しています。その液が、脳や脊髄を潤し、最 後には、静脈に吸収されてゆくのですが、(図3)何らかの原因によって、髄液が異常に脳内に溜まって、脳室が拡大したり、脳自身が萎縮してくる病気です。 その原因として、髄膜炎や、脳出血、脳腫瘍などで、髄液の流れが、悪くなることが考えられます。その他、原因が良くわからないものも多く、それらを、正常 圧水頭症といいます。(髄液が異常に溜まっているのに、脳圧が高くならないので、正常圧といいます) シャント術が効くのは、約50%くらいですが、術後に、慢性硬膜下血腫、シャントの機能不全、痙攣、感染などの合併症が出ることもあります。又、初発症状 として、歩行障害が前面に出ることもありますのでこの方の場合のように、パーキンソン病と診断されてしまうこともあります。
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